
2013年入社 政策学専攻
ビル・商業事業本部 事業企画部
アセットマネジメント担当(取材当時)
中川 翔太

京都で学生生活を過ごした私は、ゼミの政策立案の際に参考にしていた「新風館」のファンでした。当時、開発者については知りませんでしたが、歴史のある建物の外観を残しながら商業施設として活用するという開発コンセプトに共感を覚えたのです。
その「新風館」が、再び私の前に現れたのは就職活動時です。自分の想いを形にして世に送り出すというデベロッパーの仕事に憧れ、企業探求をしていたとき、NTT都市開発の事業リストに「新風館」の名前がありました。「NTT都市開発の建物だったのか」――自然と私はこの会社に魅せられていました。


入社後の最初の配属は住宅事業部(当時)です。高齢者向けマンションの商品企画及び運営、ファミリー向けマンションの用地取得から商品企画、販売、広告、引渡しまでを担いました。
デベロッパーの仕事の中でも、お客様との距離が近いといわれる業務です。お客様のニーズ・不満はどういったものか、実際にモデルルームやマンションで、お客様をリアルな存在として体感できたことが大きな財産になりました。
その後、品川シーズンテラスの管理事務所に異動しました。テナントの入居前工事対応や入居後の多様な要望へのソリューション提供、清掃・警備・設備などビルスタッフの管理、新規ICT施策の検討、省エネ・省資源推進、ロケ誘致など、多様な業務を担いました。オフィスは未知の世界でしたが、マンションの購入者もオフィスのワーカーも建物を利用するのは同じ人であり、顧客満足度を向上するという意味では何も変わりません。これまで同様にお客様志向を貫いていけば良いのだと考え、日々の業務に邁進してきました。泥臭い仕事にも愚直に取り組み、無数の現場経験を経て、自身の核が形成されていきました。


入社7年目、私はビル事業本部(当時)の事業企画部に異動し、AM※業務を担うことになりました。複数の当社保有物件を担当し、賃料交渉方針の決定やコスト削減を通した利益の最大化追求、ICT施策の推進や施設バリューアップ、共用部の有効利活用を通したビル価値向上などに取り組んでいます。また、新規の開発計画についても、開業後の管理運営の視点から、例えば、このプランでは管理コストがかかる、この導線計画はお客様の快適性を損なうのではないかといった意見提起をするなどして参画しています。
現在、特に注力しているのが、ICTの活用によるビルの次世代化です。最近の導入事例で言うと、AI監視カメラシステムが該当します。特に異常がない場合はAIの判断により画面をブラックアウトさせるので、警備員が数十台ものモニターを見続ける必要がなくなります。モニター監視の精度が上がれば、警備員の配置や巡回頻度を削減でき、警備コストの低減につながります。他にも、顔認証システムによってセキュリティゲート・エレベータ・扉を自動制御すれば、完全なタッチレス入館が実現します。セキュリティの向上だけでなく新型コロナウイルスの感染防止にも有効です。
NTTグループが一体となって取り組む「不動産×ICT」は、非常に大きな可能性があり、他社に負けない当社の強みであると認識しています。 もちろん、ICT導入が大幅なコストアップを招いたり、新設備が使われないものになっては意味がありません。面白そうなプロダクトがあるから単純に導入するのではなく、常にお客様志向、現場志向で必要性や費用対効果を吟味し、マーケットインの視点で検討しなければならないと思います。すべての鍵は「現場」だと思うのです。お客様も、ビル管理者も皆現場にいる。私は現場を熟知した人材として、ICT導入検討を的確に推進し、ビルの次世代化を実現したいと考えています。
※AM(アセットマネジメント):不動産の売買・運用方針の意思決定、PMの選定・管理などを行い、投資対効果の最大化を図る業務