
2021年 キャリア入社 商学専攻
開発本部 再開発事業推進部
薮崎 幸子

私は前職の住宅デベロッパーで10年以上にわたり新築マンションの販売営業や土地の仕入れ、再開発事業に組み込まれた住宅部分の企画提案などを行ってきました。街づくりには関心があり、おもしろさは感じていたのですが、住宅という限定された関わりしかできないことに物足りなさを覚えるようになり転職を考えました。そこで出会ったのがNTT都市開発です。全国にさまざまなアセットを所有し、それぞれの街にふさわしい複合開発を地域と一体で進めていることに大きな魅力を感じて入社しました。


現在、いくつかのプロジェクトに関わっていますが、メインは神田駅西口地区の再開発事業です。デベロッパー業界にいた人間として、この地区の再開発がいかに難しいものであるかはよくわかります。着々と整備が進む大手町に隣接する地区でありながら、神田駅西口と大手町を結ぶ広大なエリアは中小規模のビルが建ち並び、オフィス、商店、住宅が混在して、働きやすさや住みやすさ、災害時の対応力といった点でさまざまな課題を抱えています。もしこのまま20年、30年と経過してしまったら、いよいよ街の再生は困難になってしまうでしょう。確かに対象エリア5.8ヘクタール、地権者の方の数350人以上と聞けばデベロッパーは誰もが二の足を踏みます。しかしNTT都市開発は一歩を踏み出しました。私はその決断に街の未来を思うNTT都市開発の高い公共意識と真摯な姿勢を感じます。それはそのまま、今私が仕事に向かう大きなモチベーションになっています。


現在の私の主な任務は「神田駅西口まちづくり市街地再開発準備組合」の事務局としての業務です。地権者の方の準備組合への加入促進や再開発検討状況のご説明、毎月1回の理事会の運営などを担っています。
新任の私が大事にしているのは、地権者の皆さんに私の顔と名前を覚えていただき、ご一緒に神田駅西口地区の未来を考え実現していくメンバーとして認知していただくことです。特に用がなくても街を歩き回り、夜の防犯パトロールにご一緒させていただいたり、商店街の催しがあればお手伝いに伺って皆さんとの交流を深めています。最近では、一緒に街を歩きながら地権者の方がぽつりと「自分は完成した姿は見られないだろうが、息子や孫にいい街を残したい」と再開発への想いを話してくださったり、海外留学をしているお嬢様のお話などを聞かせてくださることもあり、仲間に加えていただけたかなと感じています。もともと再開発事業はNTT都市開発が考えたものに賛同いただくというものではありません。地権者の皆さんが主体となって街の未来を考え、ご自身の手でそれを実現していく事業です。私たちは不動産のプロとしてその歩みに伴走し、構想の実現をお手伝いしていきます。大切なことは、信頼いただけるパートナーとなって思いの丈をお話しいただける存在であることだと思っています。
幸いこれまでの先輩方の取り組みを経て、再開発準備組合の皆さんからは、地元住民の立場に立った神田の未来図を一緒に考えていく存在として期待をしていただけるようになりました。私たちも単なる立地特性だけでなく、かつては材木商が軒を連ねるなど下町情緒に溢れ、今も盛大なお祭りを街総出で楽しむこの土地ならではの歴史や文化を引き継いだ魅力ある街づくりのお手伝いをしたいと考えています。
神田西口地区の再開発事業は、50年、100年先の神田の未来を見通した壮大なプロジェクトです。人々が紡いできた物語を引き継ぎ、その街らしい未来を一緒に考えていくというNTT都市開発だからこそできる事業です。子どもや孫のために豊かな街を残したいという地権者の皆さんの深い想いを受け止め、私自身も高い志をもって、この事業を担っていきたいと思います。